育ちのDESIGN室

発達とデザインを考えるコラム

いつも階段の3段目に座っていた我が子を見て、私は発達について学びはじめた

はじめまして。デザイナーの高橋ゆむです。
我が家には3人の子どもがおり、一番上は現在、中学生です。

その子は幼稚園のころ、よく園の階段の、上から3段目に座っていました。
どうやら、教室に入りたくなかったみたいなんです。

みんなが遊びはじめても、先生が声をかけても、そこからなかなか動かない。
運動会でも輪に入らない。朝は私と離れるのを嫌がる。

当時の私は、「なんでみんなと同じように動けないんだろう」と悩んでいました。
発達支援センターやメンタルクリニックなど、あちこちに相談しても、どうしたらいいのか分からず、困り果てていたのです。

我が子のことを、もう少し理解したい。
それが、発達について学びはじめたきっかけでした。

「らせんゆむ」名義で描いたコミックエッセイ『マンガでわかるペアトレ』も、その学びの中から生まれたものです。

発達について学ぶうちに、我が子を見るときの問いも、少しずつ変わっていきました。

「どうしたら動いてくれるんだろう」
だけではなく、
「この子は、何に困っていて動けないんだろう?」
とも考えるようになりました。

学びの中で出会ったのが、「見通し」という考え方でした。
次に何が起こるのか。いつ終わるのか。どこへ行くのか。
そして、困ったらどうすればいいのか。

そんな、この先のことが分かる手がかりに目を向けたとき、私は、学生のころから学んできたデザインとのつながりを感じました。

たとえば、初めて行く駅に案内板がなかったら?
アプリを開いても、次に押すボタンが分からなかったら?
大人だって、「え、どうすればいいの?」と立ち止まってしまいますよね。

階段に座っていた我が子にも、教室で何をすればいいのか分からない、みんなと違うことがしたいけれど伝え方が分からない、先生や友達への話しかけ方が分からない……
そんな困りごとがあったのかもしれません。

もちろん、当時の気持ちを今の私が決めつけることはできません。
でも、「動かない」という姿だけを見ていたころとは、考えられることが変わりました。

次の一歩を選びやすくするには、どんな情報を、どんな形で届けたらいいだろう?
デザイナーとして、そこに取り組んでみたいと思い、
私のデザインブランド「GINsprout」で、「発達×デザイン」の活動を始めました。

そして、ものづくりに取り入れたかったのが、私の大好きなゲームです。
ゲームの時間が取れないとストレスがたまってしまうので、子育ての合間にも、週末は遊ぶ時間を確保しています(笑)。

そんな私だからこそ、気軽に手に取って、遊びながら「確かめる」「次にどうするか考える」を体験できるものを作りたいと思いました。
その思いを形にしたのが、ゲームブック『ぼうけん!みとおすクエスト』です。

分からなくなったら、もう一度確かめる。
予定が変わったら、新しい情報を見て考える。
全部を頭の中に覚えておかなくても、手がかりを確かめながら進んでいい。
そんな体験を、冒険の中に込めました。

あのころ、階段の3段目に座る我が子を見て、私は「なんで動かないの?」と思っていました。

今なら、そこにもう一つ、
「次に進むための手がかりは見えているかな?」
とも考えてみたいと思います。

子どもが自分のペースで、次の一歩を選べるように。
その助けになる情報や道具をデザインしていきたい。
それが、私の「発達×デザイン」の出発点です。

ホーム発達支援×デザイン 高橋ゆむ/GINsprout BOOKS

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